積読は意志の弱さではなく、設計の問題だ。DoneLayerを作った背景
記事を読んでも行動が変わらない。この課題は、読むことと実践することが分断されているから。その分断を埋めるため、自分専用のツールを設計・実装した。

ここ数年、ブラウザのブックマークが増え続けています。Xで見かけた記事、Googleディスカバーの推奨、NewsPicksのニュースレター、はてブのホットエントリ——情報源は増え続け、私は毎日20~30個の記事をクリップしています。
けれど、その中の何個を実践に落とし込んでいるでしょうか。正直に答えると、1割もいっていません。
問題は理解ではなく、決断の工程の欠落
当初、私は「積読は時間がないからだ」と考えていました。記事を読む時間が足りない、整理する時間がない、だから溜まるのだ。
ですが、ここ1年で気づいたことがあります。実は読む時間はあります。Notionに整理する時間もあります。でも、「その記事を読んだ自分は、何をするのか」という決断が、どこにも組み込まれていないのです。
読む → 保存する → 「いつか実践しよう」で終わる。この流れの中に、「自分が次に何をするのかを決める」という工程が欠けていました。
インプット過剰・アウトプット不足の悪循環
この状態が続くと、奇妙な現象が起きます。情報は増えるけれど、実装は進まない。知識は増えるけれど、行動は変わらない。ブックマークだけが月100個増える。
記事を読んだ瞬間は「これ、実践できそう」と思うんです。でも、翌日には別の記事を読んでいて、今日読んだ記事の内容は曖昧になっている。次に思い出すのは数ヶ月後で、その時には「でも今さら実装は...」という心理になっている。
つまり、問題は記事を読む能力ではなく、読んだことを実装に繋ぐプロセスの欠落なのです。
なぜコミットUIが必要なのか
この課題を自分で解決するため、あるツールを設計することにしました。
一般的なAIツールなら「このタスクを自動登録します」となるところを、私は逆にしました。AIには「候補を出す」だけにして、最終的に「どの実践を選ぶのか」は必ず人間が判断する。そこに選ぶ・宣言するという一手間を残すことにしたのです。
長押し400ミリ秒でコミット確定するUI、タイトルを自分の言葉に書き換える工程、この「選択肢から自分で選んで、宣言する」という意思決定の一手間が、実践率を高めると考えたのです。
AIが勝手に登録したタスクをこなす、では続きません。「自分が選んだ」という感覚が、その後の実行をドライブするのです。
成長を見える化する必要性
もう1つ大事にしたのが、「成長ログの蓄積」です。
タスクを完了しても、それが記録されなければ、また同じ悪循環に陥ります。だから、完了したタスク・実践した内容を蓄積し、「自分は何を実践してきたのか」を見返せる仕組みを作りました。
週や月の単位で「先週5つ実装した」「今月15個のタスクを完了した」という事実が可視化されると、人は続けたくなるものです。
実装済みの機能
コアの設計思想を軸に、これまでのフェーズで以下の機能を実装しました。
Share Extension(モバイル)
Safariで記事を読んでいるとき、共有ボタンからDoneLayerに直接URLを送信できます。わざわざアプリを開き、URLをコピペする手間がなくなり、「読む → すぐにコミット」の流れがシームレスに繋がります。
Web版(PC対応)
モバイルで貼ったURLはPC版にもリアルタイムで表示され、PCから進捗を更新できます。「スマホで記事をクリップ → PCで実装する」という分業的なワークフローが可能になります。
クロスデバイス同期
モバイルでコミットしたタスクがPC版にほぼリアルタイムで反映され、逆にPC側で進捗を「進行中」「完了」に変更したら、モバイル側も自動更新されます。Supabaseのリアルタイム同期により、デバイス間の分断が解消されました。
成長ログの可視化
完了したタスクは自動的にログに蓄積され、週別のグラフで実践数が可視化されます。「先週5つ実装した」「今月20個のタスクを完了した」という事実が見えることで、継続利用の動機が生まれます。
コミット前の編集機能
AIが生成するタスク候補について、「タイトル」「根拠文」「3行要約」のすべてをコミット前に修正できます。AI提案を自分の言葉に直してからコミットすることで、「AIに管理されている感」ではなく、「自分が選んで実装している」という感覚が保たれます。
読む・選ぶ・実践する・記録する
DoneLayerが実現したいのは、これら一連のプロセスの統合です。
ブラウザで記事を読む → アプリにURLを貼る → AIが実践タスク候補を提案 → 自分で選んでコミット → 進捗を追跡 → 完了を記録 → 成長ログを見返す
この流れの中に、「読むこと」と「実践すること」の分断を埋める設計を組み込んでいます。
積読は決して意志の弱さではなく、プロセスの設計の問題。その確信から、このプロジェクトは始まりました。
